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好きを仕事にし続けるために:「美容×スポーツ」のパラレルキャリアを築くまで
キャリアを考えるとき、「好きなことを仕事にしたほうがいいのかどうか」ということを考えたことのある方は多いのではないでしょうか。もちろんメリットもデメリットもあると思います。実際、これまで好きなことだけを仕事にしてきた筆者は、やはり好きなことを仕事にしてきてよかったと心から感じています。
この記事では、大好きな美容とスポーツの両軸で、現在フリーランスで美容ライター、美容専門学校講師、サッカークラブ運営の仕事に携わっている“二刀流”として活動するようになった背景についてご紹介します。
編集者
- ライター・メイク講師
- 阿保幸菜
大手化粧品会社で美容部員として務めた後、美容・ヘルスケア関連会社にてライター、美容メディアの立ち上げを経験。その後SNSマーケティング会社を経てフリーランスに転身。現在は、サッカークラブのマーケティングに従事しながら、美容、スポーツ系メディアでの執筆活動やメイク講師としても活動中。
子どもの頃の私について
親が婦人服メーカーを営んでいて、祖母も自身のブティックを経営していたためか、子どもの頃からとにかくお洒落とキレイなものが大好きで、中学生頃まで将来の夢はファッションデザイナーかキャビンアテンドになることでした。その一方で、活発でスポーツも大好きでした。
小学生の頃は、Jリーグが開幕した影響で、休み時間や放課後は毎日のようにサッカーで遊ぶように。女子サッカークラブにも入り、性別や学年問わずボール一つで交流できるサッカーが、コミュニケーションツールとなっていました。
中学では女子サッカー部がなく吹奏楽部で青春を捧げながら、厳しい校則や先輩が決めたルールのもと、「お洒落を楽しむことは不良」というバイアスに疑問を抱くように。
常識の範囲内で少しくらいお洒落を許してもらえないものかと、吹奏楽部では部長、クラスでは学級委員、勉強も一生懸命頑張りましたが、変わりませんでした。この頃から、「お洒落をしなくても、自分に満足するためにはどうするべき?」と考えるようになり、その答えが「美容」でした。校則の範囲内で、ヘアケアやスキンケア、休みの日に少しだけメイクをするのが楽しみに。
そして転機となったのが高校時代。「自由でのびのびした校風」「自ら考え、判断し、行動することのできる若者を育てる」というコンセプトが自分にぴったりだった高校へ入学し、価値観の似た、今でも大切な仲間たちに出会います。
高校ではお洒落で美人な同級生や先輩後輩がたくさんいて、お洒落や美容を楽しむ中、もっとキレイになりたいという欲が出て、ダイエットハイに陥ります。そこで心身を壊してしまい、初めて「美容は見た目をキレイにするためだけのものではない」ということに気付きました。 将来について考える中で、「より多くの人に正しい美容を伝えられる人になりたい」という想いを抱くように。家族がほとんど自営業だった影響もあり、将来独立することを目標に、少しでも早く経験を積みたかったので、美容に関する知識と技術をトータルで学ぶことができる専門学校へ進学を決めました。進学校だったので、専門学校へ進んだ同級生は私ともう一人だけ(彼も今や銀座一等地で売れっ子美容師)。自分にとって必要な勉強と経験を積むことを最優先に、美容専門学校ではエステティックとメイクを中心に学びました。高校時代は生物学と化学の授業が好きだったので、皮膚や体について深く学ぶことが楽しく、メイクのスキルも生かせる美容部員の道に進むことにしました。
美容部員からパラレルワーカーになるまで
社会人になってからはまず、大手国内化粧品メーカーの美容部員として、都内の大手百貨店で6年働きました。ワーキングホリデーを挟み2社で働きましたが、毎日さまざまなお客さまの美のお手伝いができることが心から楽しく、日々やりがいを感じていました。
そんな矢先、実は学生時代に交通事故で腰を傷めていたのですが、立ち仕事の疲労が蓄積されて腰痛が酷くなり、ついに立っていられなくなってしまったのです。
ここでキャリアの転機が訪れます。
療養休職中に美容雑誌MAQUIAのオンラインで専属ブロガーの活動を始め、WEBを通じて美容情報を発信するようになりました。活動一年でアンバサダーに抜擢いただき、執筆が楽しくなってきたところ、どうしても腰がよくならず、美容部員への復帰を諦めて美容関連メディアへ転職することに。
美容業界で働く人たちへのインタビューや、記事、LP制作の他、新規事業のメディア立ち上げメンバーに選出いただき、プロデューサーとしてゼロからサービスを立ち上げる経験をさせていただきました。
個人的に他社からの執筆依頼などもいただくようになり、その後は活動の幅を広げるためにフリーランスを目指して、SNSマーケティングや広告事業を行う会社で働きながら新たな分野を学びつつ、個人の仕事と「パラレルワーク」で行うスタイルを定着させていきました。
また、美容部員を辞めてから土日休みになり、たまたま小学生時代の友人に誘われてJリーグの試合を観に行くようになってから、離れていたサッカーとの接点が再び訪れます。
個人の仕事も増え、執筆需要も増えていた最中、サッカー業界の知人がスポーツメディアを立ち上げることになり、その編集部員として声をかけていただきました。女性目線でスポーツの魅力を発信できることに価値を感じ、会社を辞めて編集部に所属しながらパラレルワークを続けることに。
トップアスリートの方々へインタビューをすればするほど、スポーツと美容には「自分を高めること」「自信形成」「健康」「人にワクワクを与えられる」など共通点がたくさんあることがわかり、これらの「魅力やストーリーを多くの人に伝える」という自分自身の目標も共通していることに気づきました。
そうして2019年から今に至るまで、スポーツ×美容の2軸でのパラレルワークを続けています。
現在の活動内容
現在は、前述したスポーツメディアの編集長がGMを務めるサッカークラブでマーケティングやマーチャンダイジングに従事しながら、美容やスポーツ関連の執筆業、そして2020年からは週一で美容専門学校の講師として活動をしています。
講師の仕事では、美容部員を目指す生徒たちに対し、販売ロールプレイや化粧品学を中心に、メイクの実技、就活マナーなどの授業を担当しています。
振り返ってみると、「これまで自分が好きだったもの」×「これまで培ってきた経験」がつながり、かたちになっています。 このキャリアを築くことができた理由は、以下が考えられます。
・「何になりたいか」よりも「どういう存在でありたいか」にフォーカスする
肩書きやレッテルに縛られると、自分が何のために、どう在りたいのかを見失いがち。 自分が何をして、どういう存在でありたいのかがブレなければ、その時自分が置かれた環境や立場で、迷わず選択と行動ができるようになります。
・好きなものをあらゆる角度で見て、触れてみる
「好きなことを仕事にしたい」と思った時に、その方法はたくさんあると思います。 「この方法は無理でも、この方法なら自分にもできるかもしれない」「この方法ならきちんとお金をもらいながら仕事にできるかもしれない」など、自分が一番パフォーマンスを発揮できる方法がきっと見つかるはず。
・チャンスは二度とやってこない
好きなことが合ったら、まずはそのことを人に知ってもらうことが大切です。SNSや直接会話の中で発信し続けていると、見ている人は見てくれています。チャンスがあったら、できるかできないかは置いておいて、まずはやってみることをおすすめします。 人は絶対にできないだろうなという人にはチャンスを持ちかけません。そして、誰もが最初は未経験。まずは調べたり、相談しながらやってみることで経験値があがり、それが新しい糧となり、その後の自分の幅を広げてくれます。
影響を与えたもの
母も祖母も叔母も仕事をしながら子育てをしていましたが、今振り返ると、中でも自分のキャリアや生き方に影響を与えたのは、祖母の存在が大きかったと思います。 祖母は19歳で農家に嫁いだものの、子育てがひと段落した40歳のときに夢だったブティックを立ち上げ、商品の買い付けに飛び回り、自宅にダンススタジオを作って社交ダンス教室を開いたり、ゴルフや旅行を趣味としながら、80歳まで仕事をしながらいつもキラキラ輝いていました。 いつも自信に満ち溢れていて、お洒落でカッコイイ祖母の口癖は、「人と違うことをしなさい」「いつまでも女を楽しむこと」「人の目よりも自分がしたいことを」。そんな祖母は、仕事が大好きでした。
影響を与えた本
ココ・シャネル 女を磨く言葉
シャネルの言葉は祖母と似た部分が多々あり、自分のライフスタイルを築いていくうえでヒントになった格言がたくさん詰まった本。女性が自由に生き、美を貫く上で大切なメッセージがたくさん詰まっています。特に好きなのが、“美しさは、あなたがあなたらしくいると決めた時に始まる”という言葉
上昇思考 幸せを感じるために大切なこと
プロサッカー選手、長友佑都選手の本。ちょうど美容部員を辞め、次のキャリアをどうしようか、悩んで不安に感じていた時期、ネガティブになりかけていた自分を救ってくれた本。
逆境を乗り越えながらトップオブトップに上り詰めた長友選手のポジティブな考え方と、好きなことを貫いていくための言葉「努力に勝る天才なし」「意思あるところに道あり」が、その後の自分にとって強い影響を与えてくれました。
人生を変える断捨離
単なる物理的な片付け本ではなく、不要なものを手放せば、自分にとって大切なものが手に入るという考え方が身に付く本。これまで一度自分が積み上げてきたものを手放すのが怖くて一歩がなかなか踏み出せなかった時に、背中を教えてくれた一冊。
日本化粧品検定 1級対策テキスト コスメの教科書
実は第1回目の日本化粧品検定を受けているのですが、学生時代、化粧品会社時代に学んだ美容の基礎知識をひと通りおさらいすることができ、今でも講師仕事の時に参考にしている、美容知識のバイブル。さまざまなプロフェッショナルが監修されているので、偏りがなく、より正しい知識を理解しながらアウトプットできるため、美容を発信する仕事をしている方は、参考書として必携。
いかがでしたでしょうか。好きなことを仕事にしたいと思っている方、キャリアに迷っている方、自分らしく働きたいと思っている方の参考になれば幸いです。
編集者
- ライター・メイク講師
- 阿保幸菜
大手化粧品会社で美容部員として務めた後、美容・ヘルスケア関連会社にてライター、美容メディアの立ち上げを経験。その後SNSマーケティング会社を経てフリーランスに転身。現在は、サッカークラブのマーケティングに従事しながら、美容、スポーツ系メディアでの執筆活動やメイク講師としても活動中。